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中国山地に源を発する太田川の下流、「デルタ」の上に発達した広島市は、市街地の大半が満潮面以下の低湿地であり、排水の問題には古くから悩まされてきました。
そこで、明治41年から下水道事業に着手し整備を行ってきましたが、昭和20年8月6日の原爆被災で下水道施設も壊滅的な打撃を受けました。
その後、昭和23年度までに応急復旧を完了しましたが、抜本的な街路網の変更もあり、その大半が使用できなくなったため、戦後の下水道整備はゼロからの再スタートとなりました。
このため、緊急な整備を要する戦災復興区域の中心市街地を対象として計画を立て、昭和26年度から下水道事業に着手しました。
その後、計画区域を拡大し整備を進めてきた結果、平成15年度末には土地区画整理区域などを除いて当時の市街化区域内の汚水処理施設の整備が概ね完了しました。
さらに、平成17年度の湯来町との合併に伴い、特定環境保全公共下水道事業に着手し、平成20年度からは、公共下水道、特定環境保全公共下水道、農業集落排水、市営浄化槽の4つの事業を下水道事業会計に統合して整備に取り組んでいます。
明治 41年 3月 |
下水道事業に着手 |
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昭和 20年 8月 |
原爆によって下水道施設の大半が被災 |
昭和 21年 1月 |
戦災復旧・戦災復興下水道事業に着手 |
昭和 23年 12月 |
広島市下水道条例(旧)の制定 |
昭和 25年 3月 |
新千田抽水所の稼動(注1) |
昭和 26年 4月 |
第1期公共下水道事業に着手(注2) |
昭和 27年 6月 |
下水道使用料の徴収を開始 |
昭和 36年 4月 |
千田下水処理場の稼動(簡易処理)(注3) |
昭和 39年 6月 |
水洗便所改造資金貸付制度の創設 |
昭和 44年 3月 |
下水道事業受益者負担金制度の採用 |
昭和 44年 7月 |
千田下水処理場の稼動(高級処理)(注4) |
昭和 47年 4月 |
江波下水処理場の稼動(簡易処理) |
昭和 47年 10月 |
広島市下水道条例(現行)の制定 |
昭和 49年 11月 |
江波下水処理場の稼動(高級処理) |
昭和 52年 4月 |
下水道局の設置 |
昭和 52年 10月 |
旭町下水処理場の稼動(高級処理) |
昭和 55年 10月 |
大州下水処理場の稼動(高級処理) |
昭和 56年 10月 |
太田川流域下水道西部浄化センターの稼動(高級処理) |
昭和 59年 12月 |
千田下水処理場(西系)の増設(高級処理) |
昭和 60年 4月 |
企業会計方式を導入 |
昭和 62年 4月 |
財団法人広島市下水道公社を設立 |
昭和 63年 10月 |
太田川流域下水道東部浄化センターの稼動(高級処理) |
平成 元年 5月 |
千田下水処理場雨水滞水池の稼動(注5) |
平成 2年 4月 |
太田川流域下水道太田川処理区を単独公共下水道に移管 |
平成 4年 3月~ |
この間、太田川処理区の小規模下水道19か所を廃止し、西部浄化センターへ |
平成 16年 3月 |
財団法人広島市下水道公社を廃止 |
平成 17年 4月 |
湯来町合併により和田浄化センター(特定環境保全公共下水道)を編入 |
平成 19年 4月 |
広島市の下水処理場と浄化センターを水資源再生センターに改称 |
平成 19年度~ |
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平成 20年 4月 |
市街化区域外生活排水処理施設整備事業に着手 |
平成 20年 12月 |
西部臨海ポンプ場稼動 |
平成 21年 4月 |
新千田ポンプ場稼動(注6) |
平成 21年 4月 |
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平成 24年 4月 |
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平成 24年 4月 |
大州水資源再生センターを廃止し、旧大州処理区の排水を広島県東部浄 |
平成 26年 4月 |
広島市下水道事業継続計画策定 |
平成 27年 4月 |
西部水資源再生センターの稼働(6/9系列、高級処理) |
抽水所とポンプ場は同義語です。
昭和36年に広島市で初めて下水処理場ができました。
この処理方法は、沈殿池で下水汚泥を沈殿させ、塩素で消毒して放流するもので、簡易処理といいます。
千田下水処理場平面図
1 千田下水処理場正門
2 水質試験室
3 最初沈殿池
昭和44年に、広島市で初めて微生物で水を浄化するシステム(活性汚泥法)が導入されました。これは高級処理といい、従来の簡易処理に比べ処理水質が飛躍的に向上しました。
雨水滞水池は雨で処理能力を超えた流入水の一部を貯留する施設です。
右は平成元年に完成した雨水滞水池(貯留能力12,600立方メートル)で、左は平成22年現在、増設中の雨水滞水池です。
千田地区の浸水を防ぐため、直径5.75mの雨水幹線とともに建設されたポンプ場です。
計画しているポンプが全て完成すると排水能力は毎秒53立方メートルとなり、10年に1度の大雨が降っても浸水を防ぎます。
*平成28年度末現在で公共下水道処理人口普及率は94.9%、汚水処理人口普及率は95.9%となっています。